Talk

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青木「無理やりこじつけて言う人はいるだろうけど、よく聴いていないと思う。俺も正直最初は、ピープルというバンドも人となりも知らなかったんだけど。最初はケンゴちゃん(ケンゴマツモト/THE NOVEMBERSギター)かな? 『すげえいいから聴いてみてください』って言うから聴いてみたら、めっちゃ良くて。キ○ガイがポップな仮面を被っているように俺は思って。今更だけど、ちょっと北九州のにおいがするよね?」
波多野「えええ! それは嬉しい(笑)」
青木「僕の好きなバンドに北九州のハイリミッツっていうのがいて、そこのヴォーカルの鶴ちゃんも似ている雰囲気なんだよ。ちゃんとオーソドックスな昔の音楽も踏んでいるんだけど、吐き出す言葉やメロディは、自分しか持っていないもので。それを思い出したんだよね。オリジナリティがあっていいよね、ピープルは」
波多野「……めちゃくちゃ嬉しいです。僕はもう擦れすぎてて、普段は褒められても何も嬉しくないくらいになっているんですけど、これは本当に嬉しいです」
青木「そんな話、呑みながらいつもしてるじゃん(笑)」
波多野「ははははは! ピープルの初期は、ちゃんとポップスとして成立させるっていうのが第一にあったんですよね。だけど最近は、それを無視したところでも、ちゃんとポップになるんだってわかってきて」
青木「いやいや、アレンジとか正直いびつすぎるよ(笑)」
波多野「はははは。僕が今一番大事にしているのって、最初の創作の、自分がワクワクしたいっていう気持ちなんです。もう、それだけなんです。言葉では論理的に『このアレンジはこうこう』とかって説明はできるけど、実は本当にただ遊んでいるつもりだし。そういうつもりじゃないと、いいものはできないですよね」
青木「自分が飽きないためにも、大切なことだよね。それは自分でも感じるな」
波多野「downyの作品は、僕にとってはどれも思い入れがありすぎるから比べることが難しいんですけど、僕は6枚目が最高傑作だと思ってて」
青木「ありがとう! 自分達もそう思ってるんでね」
波多野「それもその、自分に飽きたくないくらいのワクワクを求めている感じがすごくあると思ったんですよね」
青木「downyは変なバンドだからさ、一曲を作るのに、何百回と聴き込むわけ。削ったり、抜いたり、テンポ早くしてみたりとかさ。その執着は異常だよ。だけどやっぱり、いつもみんなで話すんだけど、完成したものってそのときのベストアルバムなんだよ。思い入れの強い曲しか残っていないし」
波多野「今こういうことって、誤解が生まれるから言われなくなっていると思うんですけど、音楽を作っている最中に聴き手のことを考えたら、僕は負けだと思っていて。〈客観的になる〉って言葉としては綺麗だけど、僕はどれだけ客観的にならないか、周りが見えなくなるくらい没頭できるかっていうのが重要だと思っているんです」
青木「そうだね。だって少なくとも自分が一番音楽を聴いているっていう自負を持って、みんな音楽をやっているわけだからさ。自分がびっくりしなきゃ、おもしろくないじゃん? 自分がカッコいいと思うものを信じなかったら、他の人も絶対にそう思ってくれないよね」
波多野「そうですよね。僕がリスナーのみんなに伝えたいことって、僕たちがどれだけの覚悟を持って、音楽を作っているかっていうところで。本当はそれって、音を聴いたらちゃんとわかるはずなんですよね」
青木「曲作りは地獄だよね。煮えた鍋でずっと煮出されている感じだし」
波多野「最後に質問したいんですけど、ロビンさんは、曲作りは好きですか?」
青木「(即答で)大好き、曲作りが一番好き! やれって言われたら、一週間くらい寝ないでできるくらい」
波多野「ていうことですよね! 僕も生きててできることのなかで、いちばん好きです。地獄が好きっていうことですよね(笑)?」
青木「そうそうそう、地獄が好き(笑)。やっている最中はキツいけど、出来上がったときの達成感で、天国が見られるからさ」
波多野「ちょっと人生に似ていますよね。楽しもうと思ったら、すごく地獄のような思いをするとか」
青木「こんな大変なことができるんだから、何をやってもできるはずだって、自分に自信を持ってるもん。自分が音楽以外でも新しいアイデアを思いついたときに、絶対にできる気がするの。〈だってあんなアルバム作ったんだもん!〉って」
波多野「それを聞けただけで、今日はもうごちそうさまです(笑)。すごくいい話が聞けました」
青木「いつも呑みながら話している内容だけどね(笑)」
editor : 村上智美
photo : 岩﨑真子
青木ロビン
青木ロビン
Robin Aoki
5人編成のロックバンド、downyのVo&Gt。
Dhal、zezecoとしても活動。

http://downy-web.com/